500-100 | 予実管理
下記のようなExcelで作成している予実管理表をどのようにkintoneでアプリ化し、元の表と同じイメージで分析できるか具体的な手順を解説します。なお、このExcelでは4月~翌年3月までを会計期間とします。
使用する製品
- krewData:予実データの加工処理に利用します
本記事では【1】krewDataで予実データを整形する で解説しています。 - krewDashboard:集計した予実データを可視化するために利用します
【2】krewDashboardで予実データを可視化する(予実管理表の作成) で解説しています。
入力アプリのフィールド構成
予算管理アプリ
- 予算(目標額)を管理するアプリ
- 営業担当者ごとに年間の予算を1レコードで管理する構成
案件管理アプリ
- 案件を管理するアプリ
- このアプリでフェーズが「受注」になったレコードを集計対象とする
出力アプリのフィールド構成
- 部門ごとに「予算」「実績」「差異」「達成率」を計算した結果を出力するアプリ
- このアプリにkrewDashboardを適用して可視化する
- 上記のアプリにkrewDashboardを設定して、下記のような見た目に整える
【1】krewDataで予実データを整形する
このステップは「予実_横積み_単一集計」と全く同じになります。【2】krewDashboardで予実データを可視化する(予実管理表の作成)の設定はこの記事特有の内容です。
1.予算データを整形する
予算アプリに登録してある予算データを整形します。
入力アプリを設定する
- 入力アプリコマンドを追加し、アプリの選択で「予算」アプリを選択する
- フィールドの選択で「年度」「部門」「営業担当者」「4月~翌年3月」を選択する
当日の年度を抽出する
今年度のデータだけを対象とできるよう、当日の年度を抽出します。
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
・結果を保存するフィールド:「当日の年度」という新しいフィールドを作成
・編集方法:数式
・編集内容:IF(MONTH(TODAY())>=4, YEAR(TODAY()), YEAR(TODAY()-1))
プレビューではこのように表示されます。
今年度予算に絞り込む
- フィルタコマンドを追加する
- 数式で次のように絞り込む
数式:年度=当日の年度
予算アプリのレイアウトを変更する
予算アプリは1レコードで年間予算を管理していたのに対して、案件アプリでは案件ごとにレコードを登録します。あとの設定で予算と実績の突合せができるように、ここでは予算データのレイアウトを案件アプリにあわせて変更しておきます。
- 列ー行変換コマンドを追加する
- 次のように設定する
・変換する列名を保存する新しいフィールド名:月
・変換する列の値を保存する新しいフィールド名:予算
・次の設定を12か月分行う- 月に変換する列:4月
・変換した行に保存するの列を識別する値:4
- 月に変換する列:4月
ワンポイント
列ー行変換を経てデータが次のように変化しました。
2.実績データを整形する
1で整形した予算データと突き合わせるために案件管理アプリのデータを整形します。
入力アプリを設定する
- 入力アプリコマンドを追加し、アプリの選択で「案件管理」アプリを選択する
- 次の条件でフィルタする:フェーズ 次のいずれかを含む 受注
※必要に応じて日付フィールドを使って集計対象レコードの絞り込みも行ってください - フィールドの選択で「日付」「部門」「営業担当者」「案件名」「金額」「フェーズ」を選択する
年度を抽出する
案件アプリに登録されている日付フィールドから年度を抽出します。
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
・結果を保存するフィールド:「年度」という新しいフィールドを作成
・編集方法:数式
・編集内容:IF(MONTH(日付)>=4, YEAR(日付), YEAR(日付)-1)
月を抽出する
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
・結果を保存するフィールド:「月」という新しいフィールドを作成
・編集方法:日付編集
・編集内容:「日付」フィールドから月を抽出する
営業担当者ごとに集計(グループ化)する
- グループ化コマンドを追加する
- グループ化する項目フィールドに次を選択:年度、月、営業担当者
- 次のように設定する
・集計する値が保存されているフィールド:金額
・集計した値を保存するフィールド名:金額
・集計方法:合計
3.予算データと実績データを使い予実集計を行う
予算データと実績データをアプリ結合する
「アプリ結合」コマンドで予算と実績のレコードを横並びに結合することで、予算と実績を横に並べて比較する予実レイアウトを実現できます。
- アプリ結合コマンドを追加する
- 「予算アプリのレイアウトを変更」と「実績集計」を内部結合する
- 「元になるアプリの条件フィールド」と「結合するアプリの条件フィールド」を次のように設定する
・年度 年度
・月 月
・営業担当者 営業担当者
必要なフィールドだけに絞り込む
- フィールド選択コマンドを追加する
- 次のフィールドを選択する
・年度 ・月 ・部門 ・営業担当者 ・予算 ・実績
krewDashboardで使用する日付フィールドを作成する
ここまで作成したデータには年度と月フィールドがそれぞれありますが、krewDashboardで設定を行う際には日付フィールドを使った方が見栄えよく設定を行うことができます。ここでは、実際の日付を基準に新たにフィールドを作成します。
年月フィールドを作成する
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
- ・結果を保存するフィールド:「年月」という新しいフィールド
- ・編集方法:数式
- ・編集内容:年度&”-“&月
作成した年月フィールドのフィールドタイプを変更する
- フィールドタイプ設定コマンドを追加する
- 年月フィールドのフィールドタイプを「日付」に変更する
年月を実際の日付に直す
年度を基準として年月フィールドを作成していたため、実際の日付基準となるよう調整します。
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
・結果を保存するフィールド:「年月」フィールドのデータを置換する
・編集方法:数式
・編集内容:IF(MONTH(年月)<4, DATE(YEAR(年月)+1,MONTH(年月),DAY(年月)), 年月)
4.出力する
- 出力アプリコマンドを追加して、アプリの選択で「予実_横積み_単一集計」アプリを選択する
- 出力方式に「更新」を選択し、「更新または追加」にチェックする
- データ編集フローのフィールドで、アプリのフィールドと対になるデータ編集フローのフィールドを選択する
- 更新キーとして、「年月」「営業担当者」にチェックする
出力結果
月ごとに集計されたデータが出力されました。この後、【2】のステップでこのデータをExcelライクに可視化していきます。
ワンポイント
krewDataで予実集計をする場合、差異や達成率もあわせて集計することが多いのですが、横積みのパターンではkrewDashboardでも差異や達成率が計算できるので、krewDataではあえて計算しません。
※値としてレコードに持たせておきたい場合には集計を行ってください。
【2】krewDashboardで予実データを可視化する(予実管理表の作成)
krewDashboardの設定を行う
出力アプリにkrewDashboardを適用する
krewDataで整形したデータを出力した「予実_横積み_複数集計」アプリにkrewDashboardを適用します。
ワンポイント
krewDashboardを契約していない方はこちらのページからトライアルをお申込みください。
トライアル:https://krew.grapecity.com/trial/krewdashboard.htm
krewDashboardの設定をする
- krewDashboardのデザイン画面でピボットテーブルをドラッグ&ドロップで配置する
- データアプリとして「予実_横積み_単一集計」アプリを選択する
- 次のようにフィールド情報を行列値に設定する
・行:部門名、営業担当者
・列:(年月を展開して選択する)年、(年月を展開して選択する)月
・値:予算、実績
年度の開始月を4月に設定します。
差異と達成率を計算する
予算と実績値を元に差異と達成率を計算します。使用するのは「集計フィールド」という機能です。
- デザインタブに切り替える
- 「集計フィールド」をクリックする
- 差異を計算するために次のように設定する
・名前:差異
・数式:実績-予算
- 達成率を計算するために次のように設定する
・名前:達成率
・数式:実績/予算 - 集計フィールドを作成すると、赤枠内の場所に追加したフィールドが表示される
- 差異と達成率を値に追加する
書式を設定する
数値の頭に¥をつけたり、達成率が正しく表示されるように書式の調整を行います。
- ホームタブを開く
- 「標準の書式」内にある「数値」の横の「…」をクリックする
- 書式を通貨にするなど、必要に応じて設定する
- 達成率の書式はフィールド設定を開く
- 表示形式-から書式をパーセンテージに設定する
ここまでの設定でこのような画面が作成されます。
条件付き書式を設定する
予算と実績の列に背景色を設定します。
- デザインタブに切り替える
- 「条件付き書式」をクリックし、「新しいルール」を選択する
- 予算列を次のように設定する
・範囲:予算
・ルールの種類
・ルールの内容:年月[fiscalYear]=年月[fiscalYear]
・書式:背景色を好みの色に変更する - 実績列も同様に次のように設定する
・範囲:実績
・ルールの種類
・ルールの内容:年月[fiscalYear]=年月[fiscalYear]
・書式:背景色を好みの色に変更する
ここまで設定できたらアプリを更新します。
参考:元のExcel
元々Excelで管理していたのがこのような表でした。
サンプルファイルのダウンロードはこちら
https://download.krew.mescius.jp/study/krewdata-drill/pratical/dt500-100aggregate-horizontal-multiple.zip