500-70 | 予実管理
下記のようなExcelで作成している予実管理表をどのようにkintoneでアプリ化し、元の表と同じイメージで分析できるか具体的な手順を解説します。なお、このExcelでは4月~翌年3月までを会計期間とします。
使用する製品
- krewData:予実データの加工処理に利用します
本記事では【1】krewDataで予実データを整形する で解説しています。 - krewDashboard:集計した予実データを可視化するために利用します
【2】krewDashboardで予実データを可視化する(予実管理表の作成) で解説しています。
入力アプリのフィールド構成
予算管理アプリ
- 予算(目標額)を管理するアプリ
- 営業担当者ごとに年間の予算を1レコードで管理する構成
案件管理アプリ
- 案件を管理するアプリ
- このアプリでフェーズが「受注」になったレコードを集計対象とする
出力アプリのフィールド構成
- 営業担当者ごとに「予算」「実績」「差異」「達成率」を計算した結果を出力するアプリ
- このアプリにkrewDashboardを適用して可視化する
- 上記のアプリにkrewDashboardを設定して、下記のような見た目に整える
【1】krewDataで予実データを整形する
1.予算データを整形する
予算アプリに登録してある予算データを整形します。
入力アプリを設定する
- 入力アプリコマンドを追加し、アプリの選択で「予算」アプリを選択する
- フィールドの選択で「年度」「部門」「営業担当者」「4月~翌年3月」を選択する
当日の年度を抽出する
今年度のデータだけを対象とできるよう、当日の年度を抽出します。
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
・結果を保存するフィールド:「当日の年度」という新しいフィールドを作成
・編集方法:数式
・編集内容:IF(MONTH(TODAY())>=4, YEAR(TODAY()), YEAR(TODAY()-1))
プレビューではこのように表示されます。
今年度予算に絞り込む
- フィルタコマンドを追加する
- 数式で次のように絞り込む
数式:年度=当日の年度
予算アプリのレイアウトを変更する
予算アプリは1レコードで年間予算を管理していたのに対して、案件アプリでは案件ごとにレコードを登録します。あとの設定で予算と実績の突合せができるように、ここでは予算データのレイアウトを案件アプリにあわせて変更しておきます。
- 列ー行変換コマンドを追加する
- 次のように設定する
・変換する列名を保存する新しいフィールド名:月
・変換する列の値を保存する新しいフィールド名:予算
・次の設定を12か月分行う- 月に変換する列:4月
・変換した行に保存する元の列を識別する値:4
- 月に変換する列:4月
プレビューではデータがこのようになります。
ワンポイント
列ー行変換を経てデータが次のように変化しました。
予実区分を追加する
あとで案件アプリのデータと結合した時に、「これは予算アプリのデータ」「これは案件アプリのデータ」と識別できるように、予実区分フィールドを新たに作成します。
- 定数の追加コマンドを追加する
- 次のように設定する
・定数を保存する新しいフィールド名:予実区分
・新しいフィールドのフィールドタイプ:文字列(1行)
・新しいフィールドの保存する定数:予算
ここまでの設定で予算データを次のように作成しました。
必要なフィールドだけに絞り込む
- フィールド選択フィールドを追加する
- 使用するフィールドに次を追加:年度、月、部門、営業担当者、予算、予実区分
※「予算」はフィールド名を「金額」に変更しておく。これは後で実績データとレコード結合する際に金額管理用のフィールドとしてうまく結合するための設定。
2.実績データを整形する
入力アプリを設定する
- 入力アプリコマンドを追加し、アプリの選択で「案件管理」アプリを選択する
- 次の条件でフィルタする:フェーズ 次のいずれかを含む 受注
※必要に応じて日付フィールドを使って集計対象レコードの絞り込みも行ってください - フィールドの選択で「日付」「部門」「営業担当者」「案件名」「金額」「フェーズ」を選択する
年度を抽出する
案件アプリに登録されている日付フィールドから年度を抽出します。
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
・結果を保存するフィールド:「年度」という新しいフィールドを作成
・編集方法:数式
・編集内容:IF(MONTH(日付)>=4, YEAR(日付), YEAR(日付)-1)
月を抽出する
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
・結果を保存するフィールド:「月」という新しいフィールドを作成
・編集方法:日付編集
・編集内容:「日付」フィールドから月を抽出する
営業担当者ごとに集計(グループ化)する
- グループ化コマンドを追加する
- グループ化する項目フィールドに次を選択:年度、月、営業担当者
- 次のように設定する
・集計する値が保存されているフィールド:金額
・集計した値を保存するフィールド名:金額
・集計方法:合計
予実区分を追加する
あとで案件アプリのデータと結合した時に、「これは予算アプリのデータ」「これは案件アプリのデータ」と識別できるように、予実区分フィールドを新たに作成します。
- 定数の追加コマンドを追加する
- 次のように設定する
・定数を保存する新しいフィールド名:予実区分
・新しいフィールドのフィールドタイプ:文字列(1行)
・新しいフィールドの保存する定数:実績
フィールド情報を調整する
レコード結合する際に項目同士のフィールドタイプ、フィールド名が揃っていないと異なる項目として識別されます。予算データを整形した際に「月」は文字列(1行)に設定していたため、ここでも同様に文字列(1行)となるよう設定を行います。
- フィールドタイプ設定コマンドを追加する
- 次のように設定する
・変更するフィールド:月
・新しいフィールド名:月
・新しいフィールドタイプ:文字列(1行)
予算と実績をレコード結合する
「レコード結合」コマンドで予算と実績のレコードを縦に積み上げることで、予算と実績を縦に並べて比較する予実レイアウトを実現できます。
- レコード結合コマンドを追加する
- 結合方法を選択する:フィールドタイプ設定(2)
3.差異と達成率を計算する
ここまで作成してきた予算・実績データを元に差異と達成率を計算します。
アプリ結合して予算と実績を1レコードにまとめる
- アプリ結合コマンドを追加する
- フィールド選択(2)とフィールドタイプ選択(2)を内部結合する
- 「元になる条件フィールド」と「結合するアプリの条件フィールド」を次のように設定する
・年度 年度
・月 月
・営業担当者 営業担当者
必要なフィールドだけに絞り込む
- フィールド選択コマンドを追加する
- 次のフィールドを選択する
・年度 ・月 ・部門 ・営業担当者 ・金額 ・金額_1
※「金額」は「予算」に、「金額_1」は「実績」とフィールド名を変更する
差異を計算する
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
・結果を保存するフィールド名:「差異」という新しいフィールドを作成
・編集方法:数式
・編集内容:実績-予算
達成率を計算する
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
・結果を保存するフィールド名:「達成率」という新しいフィールドを作成
・編集方法:数式
・編集内容:ROUND(実績/予算,2)
差異と達成率をフィールドに変換する
- 列ー行変換コマンドを追加する
- 変換する列名を保存する新しいフィールド名:予実区分
- 変換する列の値を保存する新しいフィールド名:金額
- 「行に変換する列」と「変換した行に保存する元の列を識別する値」を次のように設定する
・差異 差異
・達成率 達成率
金額フィールドのフィールドタイプを調整する
- フィールドタイプ設定コマンドを追加する
- 金額フィールドのフィールドタイプを「数値」に変更する
4.予算・実績と差異・達成率をレコード結合する
別々に作成していた各データを結合します。
- レコード結合コマンドを追加する
- 結合方法:共通する項目のみ含める
krewDashboardで使用するための年月フィールドを作成する
年月フィールドを作成する
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
・結果を保存するフィールド:「年月」という新しいフィールド
・編集方法:数式
・編集内容:年度&”-“&月
作成した年月フィールドのフィールドタイプを変更する
- フィールドタイプ設定コマンドを追加する
- 年月フィールドのフィールドタイプを「日付」に変更する
年月を実際の日付に直す
年度を基準として年月フィールドを作成していたため、実際の日付基準となるよう調整します。
- データ編集コマンドを追加する
- 次のように設定する
・結果を保存するフィールド:「年月」フィールドのデータを置換する
・編集方法:数式
・編集内容:IF(MONTH(年月)<4, DATE(YEAR(年月)+1,MONTH(年月),DAY(年月)), 年月)
5.出力アプリを設定する
- 出力アプリコマンドを追加して、アプリの選択で「予実_縦積み_単一集計」アプリを選択する
- 出力方式に「更新」を選択し、「更新または追加」にチェックする
- データ編集フローのフィールドで、アプリのフィールドと対になるデータ編集フローのフィールドを選択する
- 更新キーとして、「年月」「予実区分」「営業担当者」にチェックする
出力結果
出力アプリにこのようにデータが出力されました。
【2】krewDashboardで予実データを可視化する(予実管理表の作成)
krewDashboardの設定を行う
出力アプリにkrewDashboardを適用する
krewDataで整形したデータを出力した「予実縦積み単一集計」アプリにkrewDashboardを適用します。
ワンポイント
krewDashboardを契約していない方はこちらのページからトライアルをお申込みください。
トライアル:https://krew.grapecity.com/trial/krewdashboard.htm
krewDashboardを設定する
- krewDashboardのデザイン画面でピボットテーブルをドラッグ&ドロップで配置する
- データアプリとして「予実_縦積み_単一集計」アプリを選択する
- 次のようにフィールド情報を行列値に設定する
・行:部門名、営業担当者、予実区分
・列:(年月を展開して選択する)年、(年月を展開して選択する)月
・値:金額
年度の開始月を4月に設定します。
小計と総計を非表示にする
小計・総計行が表示されないよう設定します。
- デザインタブに切り替える
- 「小計」をクリックし、「小計を表示しない」を選択する
- 「総計」をクリックし、「行と列の集計を行わない」を選択する
ここまでの設定でこのような状態になります。
書式を設定する
数値の頭に¥をつけたり、達成率が正しく表示されるように書式の調整を行います。
- ホームタブを開く
- 「標準の書式」内にある「数値」の横の「…」をクリックする
- 「通貨」の中から設定したい表示形式を選択する
- 設定後は各数値に¥マークがつき、見やすく変化する
達成率の書式
直前の設定を行うと達成率の書式も¥マークで表示されてしまうので、達成率は個別に設定を加えます。
- デザインタブに切り替える
- 条件付き書式のメニュー内から「新しいルール」を選択する
- 次のように設定する
・範囲:合計 金額
・ルールの種類:数式を使用して、書式設定するセルを決定
・ルールの内容:予実区分="達成率"
・書式:書式をクリックしてパーセンテージを選択する
ここまでの設定で書式を整えることができました。
条件付き書式を設定する
条件付き書式を設定して、予算と実績の行にそれぞれ背景色を設定します。
- デザインタブに切り替える
- 条件付き書式のメニュー内から「新しいルール」を選択する
次のように設定する
・範囲:合計 金額
・ルールの種類:数式を使用して、書式設定するセルを決定
・ルールの内容:予実区分="予算"
・書式:背景色を希望の色に設定
実績行についても次のように設定する
・範囲:合計 金額
・ルールの種類:数式を使用して、書式設定するセルを決定
・ルールの内容:予実区分="実績"
・書式:背景色を希望の色に設定
ここまで設定してアプリを更新すると、次のような表が確認できるようになります。
参考:元のExcel
元々Excelで管理していたのがこのような表でした。
サンプルファイルのダウンロードはこちら
https://download.krew.mescius.jp/study/krewdata-drill/pratical/dt500-70aggregate-vertical-single.zip